涼宮ハルヒと一晩中 5
第5章「満ちる夜、ふたりだけの世界」 そっと唇を重ねると、ハルヒは小さく肩を震わせて、吐息を漏らした。 「ん……ふっ……ちょっと、やさしすぎ……もっと、ちゃんと……来て」 彼女の手が俺の背中を這い、胸元に回り込んだ。 抱き寄せる力が強くなり、そのたびに彼女の胸が押しつけられるように俺の胸に触れる。 その柔らかさに、鼓動が早まる。 「……ほんと、変な気持ち……胸の奥がじわじわ熱くなって……もう、どうにかなりそう……」 耳元で囁かれる甘い声に、理性が溶かされていく。 彼女の太ももが俺の腰に絡まり、脚を擦り合わせるように寄せてくる。 布団の中はすでに熱を帯び、肌と肌が擦れ合うたびに、甘い吐息が互いの耳元をかすめた。 「もう……こんなに、近いのに……まだ、足りない……」 ハルヒの目が潤んでいた。 その瞳に映る俺は、もうただの“普通の人間”じゃない。 彼女にとって“特別”になったと、確かにわかった。 ゆっくりと身体を重ねると、彼女の呼吸が一瞬止まり、次の瞬間には声にならない吐息が溢れ出す。 「っあ……っ、うそ……ほんとに、入って……きてる……」 その囁きは、驚きと期待と羞恥が混じった、混乱した少女の声だった。 俺が腰を押し出すと、彼女の背中が小さく反り返り、指先がシーツをぎゅっと掴む。 「んっ……ふっ、あっ……だめ、そこ……っ、そんな風に動かれたら……っ」 細かく震える身体を、俺はそっと抱きしめる。 彼女の肩を撫でながら、ゆっくりとリズムを刻んでいく。 「……苦しくないか?」 そう囁くと、彼女は涙目で首を横に振った。 「違う……苦しいんじゃなくて……っ……すごく、気持ちいいの……身体の奥が……じわじわしてて……あたし、もう、何も考えられない……」 ハルヒの脚がぎゅっと俺の腰に巻きつき、さらに深くを求めてきた。 「もっと……もっと奥、来て……っ、全部、感じたい……あたしの全部で……っ」 甘い声と吐息が絡み合い、汗ばんだ肌が互いの動きをさらに強調する。 ふたりの間に生まれる熱は、夜の空気を押しのけるように濃密になっていく。 「ふぁ……あっ、そんな……だめ……っ、あたし……変になっちゃう……!」 彼女の腕が俺の背中に回され、爪先が小さく食い込んだ。 腰が揺れるたび、シーツがわずかにきしむ音が響く。 ハルヒは何度も小さく身体を仰け反らせ、息を呑み、そして叫ぶ代わりに甘い吐息を漏らしていた。 「これ……好き……あたし、あなたのこと……全部、感じてる……」 その声に応えるように、俺は彼女をさらに強く抱きしめた。 ふたりの世界にはもう何もいらなかった。 未来人も、宇宙人も、異世界人も。 この夜の温度と、重なり合う熱だけが、ただ確かだった。 「もう……だめ……っ、きちゃう……あたし、もう……いっちゃう……っ!」 彼女の腰が震え、脚が俺の身体にさらに強く絡みつく。 そして―― 「ああっ……っ、んっ……はっ、ふっ……っ……っ」 その瞬間、彼女の身体が跳ねるように震え、シーツの中にふたりの熱が溶け込んだ。 俺も限界を迎え、すべてを預けるように彼女の身体の奥へと沈み込んだ。 しばらくの間、ふたりは動けなかった。 重なった身体は、汗と吐息と、余韻の余熱に包まれていた。 「……ほんと、やっちゃったね……全部」 ハルヒが小さな声で呟き、俺の胸に顔をうずめる。 「でも、こんな夜……あたし、はじめて……」 その声には、後悔なんて微塵もなかった。 俺は彼女の髪を撫でながら、静かに唇を寄せた。 「もう、どこにも行かないよ。ずっと、ここにいる」 ハルヒの目尻に溜まった涙が、月明かりに照らされて輝いていた。 ふたりの鼓動は、もう同じリズムで刻まれていた。 夜はまだ深く、そしてやさしく――ふたりを包んでいた。