涼宮ハルヒと一晩中 2
第2章「団長、肌と肌の距離ゼロ」 夜の山間、貸切の露天風呂には湯けむりが立ちこめ、星明かりが湯面に煌めいていた。 その湯の中、俺と――涼宮ハルヒが肩を並べて座っている。 「ふふん、どう? こう見えても、結構あるのよ」 ハルヒが少し身体を起こし、豊かな胸元を誇らしげに張った。その胸には白いタオルが巻かれている……はずだったが、それは今にもこぼれそうなほど張り詰めていて、むしろ露出を強調する凶器と化していた。 「みくるちゃんには負けるけど、平均よりは全然あるんだから。……触ってみる?」 軽口のように言いながら、彼女は湯の中でそっと体を寄せる。その瞬間、俺の腕に柔らかな感触が押しつけられ、熱が一気に体内を駆け抜けた。 「っ……」 声にならない吐息が漏れる。 ハルヒはそれを愉快そうに見て、頬を上気させながら微笑んだ。 「顔、真っ赤。ふふっ……そういうとこ、かわいいじゃん」 吐息混じりの声が、耳元で甘くささやかれる。そのたびに鼓膜がくすぐられ、心臓がばくばくと暴れ出す。 「ねぇ、こっち向いて」 ふいに顎を指先で持ち上げられた。 視線を向けた先、ハルヒの顔が、思った以上に近い。 湯気に霞んだその瞳は、しっとりと潤み、薄く開かれた唇からは甘い吐息が絶え間なく漏れていた。 「ちゃんと見て……あたしのこと。……どう、なってるか」 彼女の指先がそっと自分の胸元へ触れ、タオルの端を少しだけ引いた。 その動きに合わせて、タオルの隙間から覗いた谷間が、月明かりと湯気の中で艶かしく浮かび上がる。 「ねぇ……ずっと我慢してたでしょ? バレバレよ」 その一言で、俺の理性がぐらりと揺れる。 彼女の唇がわずかに開いたまま、湿った呼吸が触れる距離で響いている。 「……あたしもね、ドキドキしてるの。ほんとに……心臓、ばくばく」 言葉を終えると同時に、ハルヒの指がそっと俺の胸に触れた。 その触れ方は、まるで何かを確かめるようにやさしく、震えるほど繊細だった。 「これって、ちょっとずつ……ひとつになっていくって感じ、よね」 指先から伝わるぬくもりが、胸から腹、そして奥へとゆっくり伝っていく。触れるたびに心が熱くなって、吐息が喉奥で震えた。 「な、なんで……こんなに……」 言葉にならない。 喉が詰まり、ただ彼女の目を見るしかできない。 「……可愛い、そんな顔。なんか……全部、飲み込みたくなる」 ハルヒは一瞬、目を閉じてから――そっと、唇を近づけた。 触れる直前、彼女の吐息が、震えながら俺の唇をなぞった。 その熱に飲まれて、俺は抗うことをやめた。 湯気の中で、肌と肌が重なり、吐息が交差して、静かな夜の空気に、ふたりの熱がゆっくりと溶けていった。 この瞬間、世界には、彼女と俺しか存在していないかのように思えた。