【全部乗せ】続・支配に濡れる夢の中で

夢はまだ終わっていなかった。 その深淵で、彼女は今、新たな衣を纏っていた。 薄絹のベビードール―― 儚いほどに透けるその布は、秘めるのではなく、“晒す”ための意図を宿している。 ラバーの重みを脱ぎ捨てた彼女に、自由の感覚は訪れない。 むしろ、自ら望んで“従う者”の姿へと還ってゆく。 指先を揃え、ひざを折り、静かに頭を垂れる。 やがてまなざしがゆっくりと上がる頃、そこには確かな悦びが宿っていた。 「……お願い、します……」 震える声は、もはや抗いのものではない。 奉仕は命じられた義務ではなく、彼女自身が選び取った祈りのかたち。 彼の前で、すべてを差し出し、静かに身を預けていく。 その所作ひとつひとつが、芯から彼女を満たしてゆく。 唇を添え、吐息を這わせ、心をまるごと捧げる。 熱が喉奥から胸へ、腹の奥深くへと沈み込み、 殻のようにまとっていた何かが、音もなく剥がれ落ちていく。 快楽とは、与えられるものではなかった。 自ら進み、自ら差し出し、自ら崩れてゆくもの。 その夜の彼女は、もはや“道具”ではない。 彼の悦びに仕える、“意思を持つ供物”となっていた。 そして静けさのなか、深く、深く――悦びへと溶けていった。

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