【全部乗せ】そのままの姿で

身体に密着する漆黒の衣装は、昼間の制服を模している。 だが、素材は異なる。これはラテックス――肌にぴたりと張りつき、呼吸のたびに存在を主張する。 艶を帯びた光沢が、わずかな動きでもきしみを生む。 その音すら、彼に捧げる証のように思えた。 「ん……っ、ぅ……ふ……」 後部座席の暗がりで、視界を覆われた彼女は微かに身をよじる。 唇を封じる球体が、声ではなく震えだけを通して彼に伝えていた。 太ももにあたるフリルが、車の揺れとともにこすれ合い、 その衣擦れすら、羞恥を煽る要素となる。 「――んっ……んぅっ……あっ……」 車外へ出れば、夜気が肌を撫でた。 だが、その冷たさよりも、彼の視線の熱が全身を包む。 胸元のリボンをかすかに引かれただけで、 奥底に沈んでいた感覚が波のように呼び起こされる。 「んんっ、ふ……んぁ……っ！」 堪えていた吐息が、抑えきれず漏れた。 視界のない世界で、まぶたの裏に光が咲く。 もう、抗う理由は残っていなかった。 彼女はその衣装のまま、静かにすべてを捧げていた。

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