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モデルのバイト
By: じゅじゅじゅ
Post Date: 2025/7/2 22:14
「え、今日のモデルって……ヌードなの?」 担当者の一言に、控え室の空気が一変した。 若い男女数人が、互いの顔を見合わせてざわめき始める。 「ちょ、聞いてないよ!普通のモデルバイトだと思ってたのに……」 「前払いでもらったバイト代……使っちゃったし……」 困り顔の女子が、財布を握りしめて小声でつぶやく。 その隣で、背の高い男子が苦笑いを浮かべた。 「でもさ、こういうのも人生経験ってやつじゃない?」 「いやいや、簡単に言うなって……」 「……でも、あの子の裸、見れるのか……」 心の中でウキウキしている男子もいれば、顔には出さずに平静を装っている者もいる。 「私、毛が濃いから恥ずかしいな……」 ぽつりとつぶやいた女子に、隣の友達がそっと肩を叩く。 「大丈夫だよ、気にしすぎだって。私の方が濃いよ……」 「私なんて胸ぺったんこだし……逆に堂々とできるかも?」 自嘲気味に笑う彼女に、男子の一人が「いや、それも可愛いって」と照れくさそうに返す。 「……てか、男子ってこういう時、やっぱり立っちゃうもんなの?」 茶化すような声が飛び、何人かの男子が一斉に顔を赤らめる。 「や、やめろよ、そういうの!」 「ほら、もう反応してるんじゃないの~?」 からかい合いが始まると、最初の緊張が少しずつ和らいでいく。 とはいえ、全員が吹っ切れたわけではない。中には、じっと床を見つめて動けなくなっている子もいた。 「……やるしかないか。せっかく集まったんだし。」 「うん、思い切ってやっちゃおうよ。どうせみんな同じ条件だし。」 覚悟を決めた者たちの間に、奇妙な一体感が生まれ始めていた。 羞恥と期待、そしてほんの少しの好奇心が、部屋の空気をゆっくりと変えていくのだった。