「はじめての昼休み」
転校初日の午前授業が終わる頃、教室は少しずつざわめきを取り戻し、昼休みの空気が漂い始めた。 僕は、教室の片隅で静かに佇むRUNAの姿に、目を奪われていた。 窓際の畳縁に腰をかけた彼女は、誰とも交わらず、淡い光に包まれながら、白いシャツの袖をふと捲った。 その仕草がどこか…ひどく艶やかに見えた。 風に揺れる髪。制服のすそがほんのり乱れて、足元に差す木漏れ日が、彼女の肌を優しく照らす。 声をかけるタイミングを計りかねていると、不意に彼女がこちらを振り向いた。 目が合った瞬間、RUNAは小さく微笑んだ。 その笑みは──何かを知っているような、でも、すべては明かさないような、そんな謎めいたやさしさを孕んでいて── 言いようのない胸のざわめきが、しばらく消えなかった。 それは、昼休みの、ほんの短い出来事だったのに。 なぜか僕の記憶に、深く、焼きついた。
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